立命館大学は学内の学術研究成果を英語で国際発信する英文特化型学術出版を始めた。第1弾は江戸時代から現代までの京都の料理や文化をたどる「A Delicious History of Kyoto: The Geographical History of Restaurant Culture in Japan’s Former Capital(邦訳)『おいしい京都学』」。電子版と書籍版の双方で刊行され、書籍は国際的に流通する。
オープン・サイエンスの推進は、世界的な課題としてG7広島サミット(2023年5月)や、G7科学技術大臣会合(2024年7月)等でも議論されている。一方、日本の大学の人文社会科学の研究成果の多くは主に日本語で発信され、言語や流通網の関係で国際的な広がりに欠けていた。
立命館大学は2024年に文部科学省のオープンアクセス加速化事業の採択を受け、学術研究成果の世界への発信力強化に向けた総合的な取り組みを推進している。英文特化型学術出版については、2023年12月に包括連携協定を結んだ丸善雄松堂と、ドイツの世界的な学術出版社De Gruyterの3者で連携し、出版体制および海外流通網へのアクセス体制を構築した。
第1弾として出版する「おいしい京都学」は京都の伝統料理、食文化を歴史と地理の観点から解説したもので、文学部の加藤政洋教授、河角直美教授による共著。立命館大学の著書リスト約2,300冊から丸善雄松堂のコンサルタントを受けて9冊の候補を選び、学内の委員会で決定した。書籍内には日本文化資源デジタル・アーカイブ国際共同研究拠点でもある立命館大学アート・リサーチセンターが提供する「近代京都オーバーレイマップ」など学術資源が活用されている。
仲谷善雄学校法人立命館総長は「立命館大学の学術研究成果を世界に発信することで大学の研究成果が国際的に活用される基盤を構築したい」とするコメントを発表した。
参考:【立命館大学】英文特化型学術出版 (University Press of Ritsumeikan, 略称UPR)で 初の学術研究成果を国際発信:『おいしい京都学』出版へ ~第一弾の刊行開始~