2025年度から始まった、所得制限なしの多子世帯に対する大学等の授業料等無償化。初年度ということもあり、申請漏れが多く出ているようで、申請期間を延長する大学が相次いだ。自分が対象となることを後から知った新入生や、前年度から在学中の学生の申請漏れが一部で出ていると予測される。

 この制度は、日本学生支援機構の給付奨学金の修学支援新制度が拡充されたもので、多子世帯に属している学生等は所得制限なく授業料等減免を受けられるというもの。2023年12月に閣議決定された「こども未来戦略」に多子世帯の大学等の授業料等無償化が盛り込まれ、2025年度から始まった。

 多子世帯とは、父母が扶養する「子ども」が3人以上いる世帯のことを指すが、「いつの時点で多子世帯だったのか」も重要な要素となっている。住民税情報をもとに「子ども」の数を判断するため、2025年春の申請は、2023年12月31日時点での多子世帯が対象となる。なお、2025年度からは住民税情報の確定後に新たに生まれた子等を加算することができるため、2023年12月31日時点で多子世帯でなくても、対象になるケースもある。

 また「授業料等無償化」と謳われているが、正確には「授業料等減免(授業料・入学金)」で上限額が決められている。国公立大学の上限は入学金28.2万円、授業料53.58万円。私立大学の上限は、入学金26万円、授業料70万円となっている。

 さらに「所得制限なし」となっているが、資産額については条件がある。申込み時点で、学生等と生計維持者の資産額の合計額が3億円以上の場合は対象外となる。この場合の資産に、土地、建物等の不動産や満期、解約前の保険の掛け金、貯蓄型生命保険や学資保険は含まれない。

 なお、多子世帯を対象とした支援には授業料等を支援する「授業料等減免(授業料・入学金)」と生活費の一部を支援する「給付型奨学金」がある。「給付型奨学金」には所得制限があり、資産額も5,000万円未満である必要がある。

 すでに申請が締め切られている大学も多くあるが、今回の申請に漏れてしまった場合は、2025年秋の申請になり、2024年12月31日時点での多子世帯が対象となる。

参考:【日本学生支援機構】令和7年度からの多子世帯支援拡充に係る対応について
【文部科学省】学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度

大学ジャーナルオンライン編集部

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