1日10gのミルクプロテインの継続摂取が、低~中強度の運動を実施した成人男女(60歳以上)の筋肉量を増加させることを確認したと、帯広畜産大学と株式会社明治の共同研究グループが発表した。
本研究では、北海道十勝地方に住む60歳以上の健康な成人男女122名を対象に、低~中強度運動トレーニング実施下における低用量ミルクプロテインの摂取が筋肉量に与える影響を検証したという。研究参加者は、「ミルクプロテイン10gを含んだ飲料を摂取するグループ」と「等エネルギーの炭水化物飲料を摂取するグループ」にランダムにグループ分けされ、6ヵ月間、毎日10分程度の低~中強度運動トレーニングを実施した上で、提供された飲料を1日1本摂取した。
6ヵ月後、体組成測定と体力テストを実施したところ、両グループにおいて体力指標が有意に向上したが、ミルクプロテイン飲料を摂取したグループのみ、除脂肪体重が有意に増加し、体脂肪量が有意に減少していた。除脂肪体重とは、体重から体脂肪量を引いた重量を意味し、その約7割が筋肉であることから、除脂肪体重の増加はほとんどが筋肉量の増加に由来すると考えられる。すなわち、1日10gのミルクプロテインの継続摂取は、低~中強度運動を実施した成人男女(60歳以上)の筋肉量を増加させると実証された。
また、本研究参加者122名中119名が最後まで研究を継続した(継続率97.5%)。たんぱく質の継続摂取による筋肉量の増加は以前から報告があったが、いずれの研究も、たんぱく質の摂取量が多く、日常生活で継続する上では課題があった。一方、本研究では、1日10gという少量のミルクプロテインの摂取で筋肉量の増加が確認されており、ミルクプロテイン飲料の6ヵ月間の平均摂取率は96.4%を記録したことから、日常生活に取り入れやすい“続けられる栄養戦略”であることもあわせて実証されたといえる。