大阪大学大学院基礎工学研究科の石黒浩教授、吉川雄一郎准教授らの研究グループが、人とロボットの対話システムを開発した。「自立対話アンドロイドシステム」、「賛否感応型社会的対話システム」、「タッチパネル対話システム」の3つで、米国テキサス州で開かれた世界最大規模の展示会「サウス・バイ・サウスウエスト」で公開され、反響を呼んだ。
大阪大学によると、自立対話アンドロイドシステムはNTTの音声対話技術を用いることで自立して対話する機能を持つ。従来のアンドロイドは遠隔操作型で、人と対話するには操作者が必要だったが、操作者なしで対話できる。
賛否感応型社会的対話システムは、これまで音声認識を利用しておらず、会話内容に制限があった社会的対話ロボットに音声対話技術を組み込み、人の意見に応じた高度な対話を可能にした。ロボット同士の対話に人を巻き込み、人同士の会話で得られる対話感を人に与える。
タッチパネル対話システムは、発言の選択肢をタッチパネルに表示されるものに限定、音声認識が難しい状況での対話を実現した。選択した発言は読み上げられるため、対話が音声として交わされ、自然になる。人とロボットだけでなく、医療現場や接客場面など人同士のコミュニケーションにも利用できる。
3つのシステムはいずれも、人とロボットのコミュニケーションのあり方を異なる側面から研究することで生み出された。研究チームは今後、さまざまな状況で実証実験を進めるとともに、対話コンテンツを開発し、社会へ普及させる考えだ。