日本食品添加物協会は、2021年1月16、17の両日に実施された大学入学共通テストの英文問題に甘味料に対する誤解を招く記述があるとする見解をホームページで発表した。同協会はこうした問題が出題されたことに「多くの方々に不利益をもたらす」と反発している。
同協会によると、指摘された問題は英語のリーディング第6問にあり、和訳すると「しかしながら、カロリーとは別に、ある研究は、人工的に作られた低カロリー甘味料摂取とさまざまな健康への懸念を関連付けています。低カロリー甘味料のうち、発がん性の懸念のある強力な物質を含むものもあれば、記憶力、脳の発達に影響するものもあり、それらは、特に幼児、妊婦、高齢者に危険となりえます」という趣旨の英文が記載されていた。
同協会は甘味料に関する研究が多数発表されていることから、出題そのものを明らかな誤りと指摘するものではないとしながらも、甘味料を含む食品添加物はさまざまな論文などを基に、複数の専門家が安全性を確認しており、低カロリー甘味料も日本だけでなく、世界各国で安全性に問題がないことを確認して使用されていると指摘した。
今回の出題は一部の研究内容だけを基にして安全性への疑問をクローズアップした格好で、公に使用が認められている食品添加物に対して誤った認識を与え、社会全体にマイナスの影響をもたらしかねないと苦言を示している。