厚生労働省は性別を男女の選択式から任意の記載に改める履歴書の様式例をまとめ、公開した。LGBTなど性的少数者に配慮したもので、法的な拘束力はないが、都道府県労働局を通じて全国の企業にこの方式の履歴書活用を呼び掛ける。
厚労省によると、厚労省は長年、日本規格協会が作成した性別を男女から選ぶ方式の使用を企業に奨励し、市販の履歴書もこれに倣って作成されてきた。しかし、2020年に性的少数者から性別欄の削除を求める要請が経済産業省などにあり、日本規格協会が従来の様式例を取り下げたため、省内で検討した結果、任意記載に改める方式を打ち出した。
新しい性別欄に「記載は任意。未記載とすることも可能」という但し書きを入れたほか、配偶者や配偶者を除く扶養家族数、配偶者の扶養義務、通勤時間の欄を採用前に確認しなければならない情報でないとして削除した。
厚労省は企業のエントリーシートなどにこの方式を採用してもらい、広く普及させることを考えている。様式自体に法的拘束力がないことから、最終的な判断は各企業に委ねられる。
しかし、任意でも性別を書くことは性的少数者に苦痛を与えるうえ、書かないことで企業が不利益に扱うことやカミングアウトを強制する形になることも考えられる。このため、性的少数者の団体などから一歩前進と評価する声とともに、十分でないとの声が出ている。