首都大学東京と大阪科学技術センターが提案した遮熱コーティングのヤング率(※1)測定方法が、国際規格ISO19477として制定された。この方法は非常に簡単で、優れた耐久性や信頼性を持つ遮熱コーティングの設計、開発に役立つという。
首都大学東京によると、遮熱コーティングは火力発電所のガスタービンの高温部分を支える主要技術で、ヤング率は遮熱コーティングの耐久性に強い影響を及ぼす熱応力や機械適応力を評価するのに重要となる。
首都大学東京などが打ち出した今回の方法は、基材上に遮熱コーティングを被覆した多層試験片を使い、4点曲げ試験で室温における遮熱コーティングのヤング率を測ることができる。ヤング率の測定方法は既にセラミック単体などを対象にした規格が制定されていたが、遮熱コーティングは金属の基材上に被覆して使用するため、従来の方法で測定するのが合理的でなかった。
日本では東日本大震災以降、火力発電への依存度が急激に高まり、国内電力需要の約9割を依存するようになった。二酸化炭素排出量とコストの削減を目指してガスタービンの高温運転が進められるようになったため、燃焼ガスから基材を防護する遮熱コーティングがこれまで以上の耐久性と信頼性を要求されている。
※1 ヤング率 フックの法則が成立する弾性範囲における同軸方向のひずみと応力の比例定数で、縦弾性係数とも呼ばれる