株式会社リクルートが運営する『リクルート進学総研』は、高校生の大学選びの動向を明らかにするため、2008年より進学ブランド力調査を実施している。今回、2025年度の調査結果の一部を公開した。

 調査対象は、全国の高校に通っている2026年3月卒業予定者(調査時高校3年生)計20万人、有効回答数1万6,850人。なお、2025年度は一部の選択肢の追加と変更が行われている。

 本調査では、全国を7つのエリア(関東甲信越、東海北陸、関西、北海道、東北、中四国、九州沖縄)に分けて「志願したい大学」などについて高校生にアンケートを実施した。その結果、5つのエリアで私立大学が1位となり、私立大学の人気上昇が確認された。一方、「国公立」と「私立」の志向については、進路を決め切れない層が増加傾向にあった。

 2020年度から高等教育の修学支援新制度が始まり、2025年度に多子世帯 大学等の授業料等無償化拡充と国公立高校 授業料無償化がスタート。2026年度からは私立高校 全国平均授業料45.7万円を上限に支給される予定である。「国公立」と「私立」の志向を決め切れず、私立大学が各エリアで1位となった要因には、高校や大学に関わる授業料等の支援が手厚くなってきたことも要因のひとつと想定される。

 進学先を検討する際に重視される項目としては「交通の便が良い」が最も多く、「学びたい・興味ある学部・学科がある」、「教育内容のレベルが高い」と続いた。前年と比較すると、「交通の便が良い」は4位から1位へ、「教育内容のレベルが高い」は9位から3位へと順位を上げている。

 「志願したい大学」ランキングでは、関東甲信越、東海北陸、関西、東北、九州沖縄の5エリアで私立大学が1位、北海道と中四国では国立大学が1位という結果となった。さらに、私立大学が10位、20位以内にランクインする数も増加している。知名度のランキングでは、関東圏や関西圏の総合大学がどのエリアでも上位に名を連ねており、都市圏大学の強さが際立っている。一方で、志願度ランキングでは自エリアの大学への希望が高く、地元志向の傾向も見られた。ただし、東北と中四国では他エリアの大学に対する志願度も相対的に高い。

 進学先選びの重視点としては、交通利便性や自らの興味関心に合致した学部・学科の存在、高水準な教育内容が重要視されている。こうした傾向から、高校生は自身の興味や将来像を意識しつつも、通学の利便性や学びの質に強くこだわって大学を選択していることがうかがえる。

<7エリア別「志願したい大学ランキング」トップ3>
左から順に第1位、2位、3位(カッコ内は前年順位)

北海道  :北海道大学(1)、北海学園大学(2) 北海道科学大学(6)
東北   :東北学院大学(2)、東北大学(1) 、山形大学(3)
関東甲信越:明治大学(1)、早稲田大学(2) 、立教大学(3)
東海北陸 :名城大学(1)、名古屋大学(2) 、中京大学(5)
関西   :関西大学(1)、近畿大学(3)、大阪公立大学(2)
中四国  :岡山大学(1) 、広島大学(2)、山口大学(6)
九州沖縄 :福岡大学(1) 、熊本大学(3)、九州大学(2)

参考:【リクルート進学総研】高校生の「志願したい大学」を7エリアで発表『進学ブランド力調査2025』(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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