小さくあるいは大きく生まれた子どもは、生後の成長パターンが異なることが知られている。小さく生まれた子どもは急速に大きくなる「キャッチアップ成長」を、逆に大きく生まれた子どもは緩やかに成長する「キャッチダウン成長」を示し、おおむね平均に近づいていくという。しかし、具体的にどのような成長経過をたどるのかは十分に把握されておらず、小さくあるいは大きく生まれた子の成長パターンに不安を感じる保護者も少なくない。
そこで今回、北海道大学環境健康科学研究教育センターの山口健史特任准教授らのグループは、環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」に参加した約10万人の子どものデータを用いて、出生体重500gごとに(500~999g、1,000~1,499g、1,500~1,999g、2,000~2,499g、2,500~2,999g、3,000~3,499g、3,500~3,999g、4,000g以上)、0歳から4歳までの八つの成長曲線を作成した。統計にはGAMLSS(Generalized additive model for location, scale and shape)という方法を用い、年齢ごとの平均、ばらつき、ゆがみや尖度を推計した。
その結果、出生体重が2,500g未満の子どもは、4歳までに大きくなり平均に近づく成長を示す一方、3,500g以上で生まれた子どもは、生後に成長が緩やかになり、4歳までに平均に近づいていく傾向を示すことがわかった。また、子どもが生まれたときの体重によって、その後の成長パターンが異なることもわかった。
本研究で作成した成長曲線は、たとえば「1,000~1,499gで生まれた子どもは、最初は小さいが、おおむね2歳までに急速に成長し、その後は平均に近づいていく」という成長の傾向を視覚的に捉えることができるため、小さくあるいは大きく生まれた子の成長を見守るうえで参考となると考えられる。医療や保健の現場でも、子どもの発育支援に役立つ適切な成長評価のツールとなることが期待される。