格差や貧困、金融不安定性、急速な情報化の負の影響、気候変動など、現代社会が抱える課題は、複数の主体や問題が絡みあった複雑な構造が特徴で、解決のためには生起している現象をシステムとして理解する思考が必要とされます。経済学とはまさにそのシステム的思考を提供する学問です。経済学研究科では、データ分析、人間心理の理解、モデルをもとにした推論、実験の設計、国際関係の視点、歴史的思考、制度、政策の分析など、多様なセンスが、経済学的観点から特定の問題を分析することで磨かれていきます。
※2023年取材当時の内容・表記です。
経済学の土台に多様な知見を重ねて新しい視野の広がりを楽しんでいきたい
杉山:卒業論文ではゲーム理論を扱ったものの、国際経営学部では経営学に比重をおいていたので、はじめは経済学の数学的な手法で理論を構築していく考え方に慣れない部分がありまして。
瀧澤:杉山さんは特別選考入試で学部4年次の春には進学が決まっていて、その場合は、学部生の頃から大学院の講義を受けることができる。早めに大学院の学びに馴染むにはいい制度ですよね。
杉山:最初は大学院の授業を通して、経済学に頭を慣れさせるというイメージでしたね。まずは筋トレをするかのような。
瀧澤:分野ごとに求められる“センス” のようなものはありますから。卒業論文にも学部生ながら、1年間、大学院の授業で得た蓄積は見て取れました。大学院に進学してからも、専門分野を超えてきたことを加味して、自分の問題意識を相当わかりやすく説明しましたよね。
杉山:そうですね。マクロ・ミクロ経済学も改めて丁寧に教わりましたし、経済学として何を考えるべきかという視座の持ち方から指導していただきました。先生との設問の中でも、段々と経済学的な話が合うようになったことは手応えになりました。
瀧澤:私としては経済学の基礎の上で、学部で培った視点やデータ解析に関する力も活かしてもらいたいと思っていました。さらに杉山さんは統計数理研究所で技術補佐員もしているし、情報理論に強いという側面も持っている。経済学も時代に合わせて変化していますから、これまでのベーシックな研究者とは異なる資質を持った方と、一緒に学ぶ面白さ、そして杉山さんの研究の可能性を感じています。
杉山:統計数理研究所では、個人情報に関する実験や論文執筆に参加していて。修士論文のテーマはまだ模索中ですが、個人情報と大学院で学ぶゲーム理論をうまく紐付けることができないかと考えています。
経済学の領域ではあまり事例のないテーマ設定なので、周囲とは異なる研究ができるのではないかと。
瀧澤:経済学的なセンスは持ちつつ、視野を狭くしないように。また一方では、これからも変わらず、長年にわたってお互いに面白いと思った知識を共有できる友人であり続けたいですね。
大学院生 杉山 拓海さん
所属/経済学研究科 経済学専攻 博士前期課程
研究テーマ/仕事の属人化におけるメカニズム、個人情報保護に対するゲーム理論からのアプローチ
進学動機/中央大学国際経営学部を卒業。学部で経営、経済を学ぶ中で、経済学の見識をさらに深めたいと考えました。
教員 瀧澤 弘和 教授
専門分野/経済政策、理論経済学
研究キーワード/制度の概念化、社会科学の哲学、比較制度分析、ゲーム理論
研究内容/ゲーム理論、ゲーム理論を活かした制度論
