日本の大学と世界トップクラスの大学の差は歴然としているが、ハーバード大学やスタンフォード大学でさえ現在社会のニーズに対応できていないという認識を示す同大学には驚きを禁じ得ない。
まだ開設されたばかりのMinerva大学であるが、合格率の低さは世界トップクラスだ。ハーバード、スタンフォードの合格率はそれぞれ5%台であり、全米難易度で1位と2位だが、Minerva大学の2015年の合格率はそれをさらに凌ぐ2.0%(160ヶ国11,000人受験し220名合格)だ。ちなみに、教員採用には約1,000名の応募があった。
なぜここまで世界中の有能な学生、教員を惹きつけるのか。Minerva大学の特色をまとめると以下となる。
1:基礎知識の講義はなく、各自がINTERNET EDUCATIONで事前に学習する
2:大学講義は全てリアルタイムのオンラインでアクティブ・ラーニングを実現
3:世界から集う学生が全寮制で学び合う
4:4年間で世界7都市を巡り学び、各地でインターンシップを行う
5:学費は、トップクラスの大学の1/4(ニーズベースの学費全額免除制度もある)
これだけでもこれまでの大学像とは全く違うスタイルであることが分かる。大学のための、教職員のための大学ではなく、学生のための大学であることが分かる。
高いアウトカムが得られる教授方法として以下に重点を置いている。
1:オンラインによる少人数、セミナー形式
2:リベラル・アーツ教育
3:反転授業
4:多様性のあるクラス
5:プロジェクト形式の体験学習
6:インターンシップ
低額の学費にも関わらず少人数で手厚い教育が実現できるのは、広大なキャンパスや校舎の投資(最新施設・設備の投資)を排除し、教員人件費と学習プラットフォーム(最高の学ぶ機会)に集中するという成果重視の経営戦略を選択しているからだ。
Minerva大学内容についてもう少し詳細に見てみよう。卒業者には米国大学の学部卒業の学位が付与される。学費は、ハーバード:約 $43,000に対してMinerva:約 $10,000と1/4程度(日本の私立大学の学費程度)である。オンラインの授業だけでなく、オフラインでの学生同士の交流(学び合い)を重視しているため、世界中から選び抜かれた学生達が共同生活を送ることで、様々な価値観に触れられるよう、学生寮で生活する。