結びにかえて
これまで4回にわたってALに関する検討を進めてきた。本サイトへの投稿を依頼された当初、教育学の専門家でもない筆者がALという教育問題を語れるのかと躊躇したのはいうまでもない。筆者の知人・友人の中にもっと適任者だといえるような方もおり、その方々を紹介したいと伝えたほどだ。しかし、AL(と呼ばれるのであろう教育手法)を実践する教育者の端くれとして、ALの導入・実践に悩む学校関係者に何らかのメッセージを発することができればという思いで、執筆を受諾することにした。
筆者が時には主観のままに書き連ねている雑文に異論・反論をもたれる方もかなりいると思うし、そもそも門外漢の筆者の文章が誰にどの程度読まれているのかも疑問である。しかし、ALが教育界において重視されていることと、それについて悩んでいる方が多数存在するということ、そして、筆者自身の経験上、ALには一方向型の講義スタイルではできない「何か」があるのは事実だ。それならばせめて、我々教員が受講生の能動性を信じ、その参加を促す試みを行ってみてはどうだろうか。
仕事柄毎年何百人というビジネスパーソンと出会う機会があるが、教員という仕事ほど、その仕事に就きたいと思って働き始めている職業はない。しかし、勤続年数を重ねるごとに会議や書類作成などの雑務が増えるなどして「教える」ということに時間を割きにくくなるのも事実である。また、自身のこだわりさえ捨てることができれば、去年と同じ講義を行えばなんとなくやっていけるというのも事実かもしれない。ALにまつわる様々な問題は、そのような教員の態度・姿勢に一石を投じるのかもしれない。
ALとはかくあるべしという明確な答えが見つからずとも、教えることそのものに悩み続けることができれば、それも素晴らしいALを行うようになる糧となるに違いない。
シリーズ「アクティブラーニングの実効性における課題と解決方法」
第1回:アクティブラーニングのテーマはどう選ぶべきか
第2回:アクティブラーニングに座学は必要か
第3回:意欲の低い学生にいかにアクティブラーニングを行うか
第4回:アクティブラーニングにおける評価の難しさ