新たな高等教育機関「専門職大学」の必要性
実践的な高度専門職業教育を行う新たな高等教育機関「専門職大学」「専門職短期大学」設置のために学校教育法を一部改正する法案が2017年5月24日、参議院本会議で可決、成立した。1964年の短大開学以来、半世紀ぶりに新たな高等教育機関が2019年春に誕生する。
背景には、急速に変化する社会情勢や産業構造に対応して、優れた専門技能を持ち新たな価値を創造する専門職業人材が求められていること、また、日本社会の職業教育に対する認識不足、ともすれば、普通教育より職業教育が一段低いように捉えられ、それによって大学への進学自体を評価する社会的風潮が、質の高い専門職業人材の養成を阻害する一因となっていることなどがあげられる。
さらに、世界的にみて日本は高等教育機関における社会人の占める割合が低いことがあげられよう。OECD（経済協力開発機構）各国の25歳以上の大学入学者の割合が平均約18%であるのに対して、日本の4年制大学ではわずか2%過ぎない。少子高齢化が進み、労働人口の減少を抱える我が国にとって、今後の日本の社会経済を支える人材の養成を強化していくことは喫緊の課題であり、そのためには、社会人も時代の変化に応じて新たな知識・技術や技能を身に付けることができる、誰もがいつでも「学び続ける」社会を実現していくことが重要となっている。
これまでの実践教育を礎に高度専門職業人材養成への挑戦
日本教育財団が開学予定の国際工科専門職大学においては、先端情報工学科、カーデザイン学科、デジタルエンタテインメント学科を設置予定。同法人が運営する専門学校「HAL」において、すでに各業界に対応した最新のカリキュラム・設備・機器を整え、企業と連携した実践教育で｢職業実践専門課程｣として文部科学省の認定を受け、多くの人材を業界に輩出している。今後、国際工科専門職大学においては、これまで以上に、各業界の協力を得て連携しながら、さらに高度な専門知識と実践的技能を有する専門職業人を養成する。
同様に、国際ファッション専門職大学は、ファッションデザイン・ビジネス分野で国際競争力のある新しい価値の創造・享受を実現できる人材を、東京医療福祉専門職大学・名古屋医療福祉専門職大学・大阪医療福祉専門職大学は、医療・福祉分野で高齢社会に適した新しい医療福祉を担う「多職種連携のリーダー」となる人材を養成する。
2018年1月、同法人が運営するファッション・美容・デザインの「東京モード学園・大阪モード学園・名古屋モード学園」、IT・CG・ゲームの「HAL東京・HAL大阪・HAL名古屋」、医療・福祉・スポーツの「首都医校・大阪医専・名古屋医専」が主催する合同の卒業制作・発表展「未来創造展」が、東京・大阪・名古屋の3地区で開催された。学生たちは、ファッションショー、オリジナルゲーム、チーム医療のデモンストレーションなどを通して在学中に培った創造力と最先端の技術を駆使しながら、作品を制作したり、展示発表を行ったりした。
多角的アプローチで将来の日本を担う専門職業人材を養成
同法人は、専門職大学開学に先んじて、東京通信大学（東京都新宿区）を2018年4月に開学する。場所や時間を気にすることなく、授業料の負担も軽減し、通学不要*で大学卒業資格〈学士〉を取得できるインターネット大学だ。このように、専門職大学の他にも、社会人の学び直しニーズの高まりや、経済的な理由で教育を断念せざるを得ない人を救済し、現在の社会で求められる情報・福祉分野で活躍できる人材の育成についてさまざまなアプローチで対応する。※一部の資格取得には、スクーリングや実習が必要です。
50年以上に渡り、実践知を重視した専門人材養成に取り組んできた同法人だが、今後は「東京通信大学」の開学によって得られるeラーニングなどの知見をグループ各校にも展開し専門職大学の開学とあわせて、将来の日本を担う専門職業人材の養成にさらに邁進する。
※専門職大学は認可申請中のため内容に変更がある場合があります
参考：文部科学省専門職大学・専門職短期大学
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senmon/index.htm
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/__icsFiles/afieldfile/2016/10/24/1371833_1_1_1.pdf
