地域に根ざし、地域に学び、地域への貢献を目指す新たなプロジェクトも加わった地域連携学生プロジェクト(5団体)の半年間の歩みを振り返る
地域に根ざし、地域に学び、地域の課題解決を目指す学生たちの自主的な取組を支援する「地域連携学生プロジェクト」。春に募集と選考を行い、2019年度は前年度から継続の4プロジェクトに、新たに立ち上がった新規プロジェクト1つを加えた5プロジェクトが採択された。5月に採択が決まり2月の成果報告会まで、活動期間は約1年間。半年が過ぎ、これまでの活動を振り返る。
宇治☆茶レンジャー
2010年より続くベテランプロジェクトで、今年で結成10周年を迎える。学生たちが宇治茶について学び、学びを通して知った宇治茶の魅力や楽しさを広く地域に発信する取組を行う。地域へも浸透している大型イベント「宇治茶スタンプラリー」(宇治茶にゆかりのあるポイントをクイズに答えながら巡るクイズスタンプラリー。2019年は10月6日に開催し、5000名の参加者があった)や、中宇治地域のお茶屋さんを巡り、店主の話しに耳を傾けながら店舗ごとのこだわりのお茶を味わう「聞き茶巡り」(今年度は、10月と2020年2月に開催)に加え、2018年度からは、行政の協力を得て、宇治市内の育成学級で小学生を対象にした宇治茶ワークショップを実施。宇治茶の歴史や淹れ方をわかりやすく伝えることで、子ども達が地域に親しみ、地域文化を知るきっかけづくりとなるような取組となっている。
商店街活性化隊 しあわせ工房 CanVas
宇治橋通商店街振興組合の公認を得て、商店街の魅力を伝えるプロジェクトで、2019年度で6年目となる。夏と秋に行われる商店街主催のイベントでは、子どもを対象にしたワークショップブースやイベント会場となる商店街全域を周遊するラリーを企画し、イベント全体の賑わい創出に貢献している。また、2015年度より行っているロゲイニング(本誌124号参照)の手法を使ったまちあるきを毎年継続的に実施しており、2019年度は、対象を地元の子ども達に絞り企画を見直し、12月に実施予定である。その他にも、宇治橋通り商店街の飲食店を紹介するグルメ冊子や、振興組合と共に店舗紹介の動画を作成するなど
商店街の魅力発信にも努めている。
響け!元気に応援プロジェクト
2019年で結成5年目。宇治を舞台にしたアニメ作品「響け!ユーフォニアム」を通して地域とファンを繋ぐ取組を行う。2019年春には、劇場版の公開があり、作品の舞台である宇治を訪れるファンは後を絶たない。毎年、夏と冬の2回、大学にてファンの交流イベントを企画し、ファンによる二次創作活動の紹介や吹奏楽のコンサートに加え、作品をモチーフにしたドリンクや物語に登場するメニューを提供するカフェの運営もはじめた。また、今年7月に起きた「響け!ユーフォニアム」を制作する京都アニメーション(京アニ)のスタジオ放火事件を受け、学内外で京アニへの応援コメントや千羽鶴の作成を呼びかける応援活動も積極的に行った。地域との連携も活発に行い、特に作品にも登場する京阪電車とは、毎年コラボイベントに参加し、舞台を巡る探訪ウォークを実施している。
KASANEO(カサネオ)
2018年度結成。「ファッション」をテーマに多世代交流を行うプロジェクト。古着好きな学生が、『ファッションは一定の周期を巡り流行を繰り返す』という点に着目し、高齢者から今は着ることのない衣服を譲り受け、それらに学生のアイテムをプラスし、現代風の着こなしを提案する。衣服の受け取りの際は、その服を着ていた当時の出来事や流行などをヒアリングし、服を「もの」としてではなく「想い出」として引き継ぐことを大切にしている。本学では、宇治市と連携し、65歳以上の宇治市民を対象にした科目等履修制度「宇治市高齢者アカデミー」事業を実施しており、学生と同じキャンパスで学ぶアカデミー生やアカデミー卒業生の中には、このプロジェクトのシニアメンバーとして参加する方もあるなど、学生と高齢者が一緒に進めるプロジェクトである。譲り受けた衣服は、ファッションショーや展示会、雑誌の作成を通して提供者の「想い出」と共に紹介している。
REACH(リーチ)
2019年度に結成した新規プロジェクト。障がいをもつ方や依存症のある方などとの交流を通して、互いに理解を深め、多様な人々がともに暮らす社会のあり方を模索していく。具体的な取組としては、9月に京都市内のカフェにて「ブラインドカフェ」を実施。この催しでは、カフェの利用者がアイマスクや弱視体験めがねを着用し「見えない/見えにくい」状態で、メニューを見て注文し食事をする。体験を通して、視覚障がいをもつ方の日常や、障がいを持つ方により伝わりやすい接し方などを知る機会となった。また、薬物依存症回復施設「京都DARC」の利用者と一緒に、レジンアクセサリーづくりを通した交流を定期的に行っており、作成したアクセサリーを地域のイベントや本学の学園祭で販売し、アクセサリーを通して施設に対する理解やREACHの活動の周知を図っている。まだまだプロジェクトの知名度も低いため、学内での広報にも力を入れ、メンバーの確保と安定的な活動の継続を図っていく。