北海道大学大学院理学研究院の角井敬知講師、理学院の田邊優航氏らの研究グループは、アカウミガメの甲羅上からタナイス目甲殻類の新種を発見し、おとぎ話「うらしまたろう」に因み”ウラシマタナイス(和名)”と名付けた。
現在、多くの大型動物が絶滅の危機に瀕している。アカウミガメも絶滅危惧種に指定されており、様々な保全の取り組みが行われている。アカウミガメの甲羅には様々な動物が生息しているが、それらを詳細に調べた研究は少ない。絶滅危惧種の甲羅の上に住む動物はやはり絶滅危惧種である可能性が考えられるため、同グループは、屋久島に産卵のため上陸してきたアカウミガメの甲羅上に生息する小型甲殻類の調査研究を行った。
2016年5月から6月にかけて屋久島の砂浜に上陸してきたアカウミガメを対象に、ウミガメの甲羅上あるいは甲羅の海藻類の中から、微小生物を直接ピンセットでつまみ上げて採集した。実体顕微鏡と光学顕微鏡で形態観察を行い、種名を調べ、DNA配列の一部も決定した。
研究の結果、アカウミガメの甲羅上から採集されたタナイス類は、Hexapleomera属に含まれる未記載種であると判断されたため、ウミガメに乗って海中を旅した「うらしまたろう」に因み、Hexapleomera urashima(和名:ウラシマタナイス)と命名した。これは、北太平洋から初報告となるタナイス類の発見となる。