東京大学のジョン・リビングストン大学院生(博士課程3年)らの国際研究チームは、一度に44個の新しい系外惑星を発見(実証)。国内で最多の発見数となった。チームは日本以外、イタリア、ドイツ、スペイン、オランダの研究者・学生から成る。
NASAのケプラー宇宙望遠鏡は2009年の打ち上げ以降、はくちょう座の一領域に5000個を超える系外惑星とその候補を発見してきた。しかし、2013年に故障した後観測を断念、その後は黄道面上の異なった領域を季節ごとに観測するという新しいミッション「K2」として活用されている。発見した天体は惑星候補にすぎず、地上観測等による確認・実証が不可欠だ。K2ミッションでは300個弱の惑星が実証されてきたが、より多くの多様な惑星の実証が求められていた。
今回、国際研究チームは、K2ミッションの生データから恒星明るさの超精密測定により有力な惑星候補を選出し、候補天体の地上からの撮像観測や分光観測でフォローアップを行った結果、一度に44個もの系外惑星の実証に成功した。これは日本で最多の系外惑星発見数だ。
これによりK2ミッションで実証された系外惑星の個数は300個を優に超えた。ケプラー衛星からの1000個単位での候補天体リリースを除くと、極めて稀な多数発見の成果を大学院生が主導できたことは、系外惑星研究が若い人の活躍できる分野として期待できる。
既知の実証済み系外惑星数は約4000個だが、今回の発見は明るい小型惑星を増やした点に意義がある。このうち1個は赤色矮星まわりにある、金星より小さい惑星である。これは、地球型岩石惑星の形成・進化を理解するために重要なターゲットとなるという。
論文情報:【The Astronomical Journal】44 Validated Planets from K2 Campaign 10