世界の中の日本。2100年に向かって日本の大学はどこに向かうのか? [前編]
「大学改革の現状とその行方 第1回」では、まず国内の18歳人口の推移が与える大学への影響について触れた。大学のマーケットは、18歳人口の動態と大学進学率に大きく影響を受ける。
次に、2018年以降の国内18歳人口の減少が大学に与えるインパクトはどの程度かシミュレーションした。今後予測される18歳人口の減少は、2025年には、入学定員規模が少ない大学287校が消滅するほど減少し、2031年には378校、2045年には500校規模が消滅するほど減少する。なんと2100年には、556校以上の大学が消滅し、国内の私立大学は20校以下に激減するほどのインパクトがあることに触れた。
18歳人口の減少は、定員が小規模の大学から淘汰の可能性が高いことを示唆した。
「大学改革の現状とその行方 第2回」では、INTERNET EDUCATIONの進化と自動翻訳機の進化、バーチャルリアリティの進化が国内の大学に与えるインパクトについて考えてきた。科学技術の発展は、大規模トップクラスの日本の大学でさえ外圧となりうる驚異であることを示している。
つまり、日本の大学は、国内の18歳人口の減少というマーケットの急激な縮小だけでなく、科学技術の発展によって、海外の進化した教育の波が日本に押し寄せ、日本の大学の存在価値を奪ってしまう。これが近未来に起きるであろう日本の大学淘汰のシナリオと考えられるのである。
「大学改革の現状とその行方 第3回」では、全く新たな切り口で人材育成方法を革新する世界トップクラスのMinerva(ミネルバ)大学について触れた。
ミネルバ大学の特色は、日本の大学の既成概念、固定観念を根底から覆すものである。
1:基礎知識の講義はなく、各自がINTERNET EDUCATIONで事前に学習する
2:大学講義は全てリアルタイムのオンラインでアクティブ・ラーニングを実現
3:世界から集う学生が全寮制で学び合う
4:年間で世界7都市を巡り学び、各地でインターンシップを行う
5:学費は、トップクラスの大学の1/4(ニーズベースの学費全額免除制度もある)
海外の進化した教育が日本に押し寄せる典型例であるミネルバ大学は、リアルとバーチャルそれぞれのメリットを完璧に融合した最先端の人材育成機関の完成形といえる。
これまでは、様々な日本を取り巻く外圧が大学淘汰の方向に向かっていることを示してきた。
「大学改革の現状とその行方」第4回では、そんな外的環境を踏まえ、長期レンジでの外圧を3つに整理し大学の課題を検討していきたい。