兵庫医科大学の小児科学、エコチル調査兵庫ユニットセンターなどの研究チームが子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)のデータを基に、母親が妊娠中の自宅増改築と乳児期の喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューする呼吸)の関係を調べたところ、増改築した妊婦から生まれた乳児に喘鳴の発症頻度が高いことが分かった。
兵庫医科大学によると、研究チームが全国約7万5,000人の妊婦を対象としたエコチル調査データから、妊娠中に自宅を増改築した妊婦から生まれた生後1歳までの乳児の喘鳴発症率を調べたところ、23.3%に上った。
これに対し、自宅を増改築しなかった妊婦から生まれた乳児の喘鳴発症率は19.3%。自宅を増改築した妊婦から生まれた乳児の喘鳴の頻度は1.33倍、4回以上繰り返して起きる反復性喘鳴の頻度は1.22倍になっていた。
妊婦のアレルギー疾患や生まれた乳児の呼吸器疾患の有無などに特別な関係は見られなかったほか、自宅を新築した妊婦の産んだ乳児に喘鳴との顕著な関係は確認できなかった。
研究グループは妊娠中の自宅の増改築が乳児の喘息の発生と関係がある可能性を持つとみており、増改築と喘鳴の関連をさらに調べると同時に、新築と増改築でなぜ異なる結果が出たのかなどを研究する。
なお、本調査の限界として、増改築や喘鳴の有無は質問票への回答による評価であり、増改築の種類や程度、喘鳴の重症度は明らかでない。また、妊娠中の増改築と生まれた子どもの乳児期の喘鳴との関連の機序が不明であるとしている。