2016年春に卒業を予定する大学生の就職活動日程が「後ろ倒し」されたのに伴い、就職活動が長期化している問題で、国公私立の大学、短大、高等専門学校でつくる就職問題懇談会の吉岡知哉座長(立教大総長)は、企業に公平、公正な採用活動を呼びかける異例の緊急メッセージを発表しました。吉岡座長は、正式内定開始日の10月1日以前に内定受諾の確認書類提出や学生を長時間拘束する行事を自粛するよう強く訴えています。

緊急メッセージは「公平・公正な採用選考活動の実施について」と題し、各企業に対し①学生を長時間拘束する選考会、行事の実施自粛②学生に対し、正式内定開始日の10月1日以前に内定受諾の意思確認書類の提出を求める行為の自粛③卒業、終了前年度までの学業成績を採用面接に活用するなど適切に評価すること④学生の健康状態に配慮し、クールビズなど必要な配慮をすること―の4項目を要請しました。

大学生の就職活動日程が「後ろ倒し」されたことにより、「就職活動が長期化している」と考える大学、短大が6割近くに及ぶことが、文部科学省と就職問題懇談会の全国調査で明らかになっています。就活「後ろ倒し」を実施する企業としない企業が混在するためで、卒業論文の作成や授業への出席など学業への影響については、ほぼ半数の大学、短大があるとみており、学生ばかりにしわ寄せが来る厳しい実態が浮き彫りになりました。

就職問題懇談会は10月1日の内定開始日以降、全国の大学、短大、高専、企業を対象に、就職活動期間変更初年度の実態調査を進め、就職、採用活動が学生に及ぼした影響について詳しく分析することにしています。

出典:【文部科学省】公平・公正な採用選考活動の実施について~吉岡就職問題懇談会座長メッセージ~

大学ジャーナルオンライン編集部

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