東京大学創薬機構は、大手医薬品メーカーの田辺三菱製薬(大阪市、三津家正之社長)から寄託を受けた化合物サンプルを化合物ライブラリーに加え、利用を希望する研究者へ提供を始めた。
東京大学によると、田辺三菱製薬は東京大学創薬機構へ約5万種類に及ぶ独自化合物サンプルを提供した。東京大学創薬機構はこれを創薬研究の初期段階で必要になる新薬の候補となる化合物を探す研究をしている研究者に提供。新薬候補を探し出すスクリーニング技術を供与するとともに、スクリーニング機器の共用を認め、研究を支援する。
創薬は膨大な数の化合物から標的となる疾病に効果があるものを探し出すことから始まる。有用性のある化合物が見つかると、前臨床試験の医薬品開発プロセスに進むが、新薬発見の可能性が低く、医薬品の完成には10年以上の年月を要すことが多い。しかし、より有望な化合物に絞って実際の実験で調べれば、成功確率が上がるとともに、開発期間の短縮につながると期待されている。