規制緩和で地域振興を図る国家戦略特区の諮問会議は、獣医師系の養成学部を新設するために関係制度の改正に入ることを決めた。2015年、広島県とともに特区指定を受けた愛媛県今治市は、獣医師系大学の誘致を進めているが、今回の決定で目標とする2018年4月の開学が現実味を帯びてきた。
内閣府に設けられた国家戦略特区諮問会議は、追加の規制緩和事項として広域的に獣医師養成系の大学がない地域に限り、獣医学部の新設を可能とする関係制度の改正を進めるとした。
人畜共通感染症や家畜、食料を通じた感染症の発生が国際的に広がり、獣医師の取り組むべきことが急激に増えているためで、感染症防止の水際対策、多様な実験動物を利用した創薬などを当面の課題に挙げている。獣医学部の新設は、文部科学省の認可基準で約50年間、認められていない。今回の決定を受け、早ければ年内にも関係制度が手直しされる見通しだという。
今治市は国家戦略特区に選ばれ、獣医師系の国際教育拠点整備区域に入っている。市は若者の流出を食い止めるため、長年獣医師系大学の誘致を目指してきた。候補地とされるのは、市郊外の今治新都市第2地区にある市有地のいこいの丘16.8ヘクタール。国が今後、学校法人など事業者の公募を進めることになるが、市は大学用地の無償譲渡も視野に入れている。