2015年7月25日
横浜市大 市民参加型の地震波計測ネットワーク
横浜市立大学は一般家庭や学校でも導入できる市販の小型センサーを用いた市民参加型の地震波計測ネットワークを構築しました。これまでの地震計測以上にきめ細かくデータを収集することに加えて、市民が能動的に地震や防災に対する理解を深めることを目指します。
同大の金亜伊准教授によると日本全国には通常20から30km四方に1か所に、一台数百万円する地震計を設置しています。しかしその間の地点の計測はできず、地震や防災に市民の関心が高まっていることから手軽にアクセスることができる詳細な情報が求められています。そこで金准教授は1万円程度で組み立て可能で一般家庭でも安価に設置できるセンサーユニットを利用し、市民参加型のネットワークを構築することに取り組みました。このユニットを使えばこれまで空白地帯であった地域のデータも得ることが可能になり、同じ地域や建物内でも揺れの激しいところを知ることができます。それによって減災につなげることができるとしています。
さらにソーシャルメディアと連動させれば、揺れのリアルタイムでの監視や教材としての利用も期待できます。しかしこうしたセンサーが普及するためには家庭用地震計としての利用だけでなく、日常生活でも広く利用できるアイデアが求められています。例えばセンサーユニットにカメラをつけることで、高齢化や独居化が進む社会での見守りアプリケーションに利用しようとする試みがあります。市民からも広くアイデアを募ることで、こうした地震波計測ユニットの普及に努めるとしています。
大学では世の中に出るまでに少し時間がかかる最先端の研究だけでなく、直接市民の安全を守るこうした取り組みも積極的に行われています。こうした取り組みは市民の安全・安心に寄与するばかりか、得られるデータも膨大になり先端研究の進歩にも役立つでしょう。