映像やコンピュータグラフィック等を、スクリーンのような平面に単純投映するのではなく、建築や家具などの立体物、または凹凸のある面にプロジェクタ等で投映するプロジェクションマッピング。2012年の東京駅の復原完成記念イベントとして、駅舎をスクリーンとして行われた映像ショー「TOKYO STASION VISION」を覚えている方も多いのではないでしょうか。さまざまなイベントでますます需要が高まっているプロジェクションマッピングをはじめ、デジタルサイネージ、ユーザインタフェース、AR(Augmented Reality)等の分野において、実世界の物体へ映像を投影するプロジェクタ技術の向上が求められています。
従来のプロジェクタは静止した対象への投影を前提としており、画質面では優れているものの、単位時間に処理されるコマ数を示すフレームレートの値が低く(30fps~120fps)、動く対象への映像の投影には十分ではありませんでした。東京大学情報理工学系研究科石川渡辺研究室と東京エレクトロンデバイス株式会社(横浜市神奈川区、以下TED)は、8bit階調の映像を最大1,000fpsのフレームレートで投影することができる世界最速レベルの高速プロジェクタDynaFlashを共同で開発しました。公開された動画では、あたかも印刷されているかのようにほとんど遅延なく、動く物体に画像が投影される様子が紹介されています。TEDは、2016年夏頃を目処に、自社ブランドinrevium(インレビアム)商品としてDynaFlashの販売を開始する予定です。
石川渡辺研究室では、今後は従来から開発してきた高速ビジョン技術を組み合わせることで新たな応用展開を目指しています。例えば、高速カメラと連携することで人間の眼には知覚できないms(1000分の1秒)オーダーでのセンシング、特に3次元計測を飛躍的に高速化することが可能になるとしています。