11月の財政制度等審議会の議論などから国立大学運営費交付金の抑制が懸念される状況となっている問題で、文部科学省高等教育局は財政審の資料に反論する見解をまとめ、中央教育審議会大学分科会に提出した。運営費交付金の減少が国立大学の教員確保や研究推進の障害になっているとして、このままでは国立大学の脆弱化が懸念されるとしている。

 文科省によると、財政審資料で国立大学法人化以降の運営費交付金の減少について付属病院の赤字解消や退職手当の減少が大半を占め、実質382億円程度としているのに対し、見解では法定福利費の増加や消費税改定などが考慮されず、実質1,000億円以上の減額と指摘した。

 その結果、常勤教職員の人件費が圧迫され、教職員雇用の不安定化が懸念されるとした。さらに、教員の個人研究費が減少して年間50万円未満の教員が全体の6割を占めることを挙げ、教育研究基盤が弱体化しつつあると訴えている。

 若手教員の間ではこの10年間で任期付きポストが任期のない雇用を上回り、博士課程入学者が減少している。短期の外部プロジェクトに依存して研究者の発想に基づく長期の研究が困難な状態にも陥りつつあるとした。
このため、文科省は外部資金で研究費を措置できても、教育研究を支える教員の確保は運営費交付金でないと難しいと指摘している。

参考:【文部科学省】資料1 財政制度等審議会(平成28年11月17日開催)平成29年度予算の編成等に関する建議 (国立大学法人運営費交付金関係)についての文部科学省の見解(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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