東北大学は、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業を支援する「原子炉廃止措置基盤研究センター」を設置した。センター長には大学院工学研究科の渡邉豊教授を起用、各地の老朽化した原発廃炉計画にも研究成果を生かす。
東北大学によると、センターには工学研究科、情報科学研究科、流体科学研究所の教員約30人が参加。廃炉に必要な安全技術やコスト削減技術を研究開発する「廃止措置リスク管理技術研究部門」と、放射性物質の閉じ込め性能向上や溶解燃料の保管を研究する「放射性廃棄物処理・処分技術研究部門」を置く。
2011年の福島第一原発事故は、発生から5年半が経った今も1~4号機廃炉の見込みが立たず、作業は今後30年以上続くと予想されている。廃炉を安全かつ着実に進めるためには、政府をはじめとするオールジャパン体制で努力を続ける必要がある。
このため、東北大学は「東日本大震災からの復興・新生の先導」を全学ビジョンに掲げ、2014年度から廃止措置の基盤研究を進める若手人材の育成に努めてきた。センターの設置はこれまでの活動をさらに発展させ、わが国の基礎研究をリードするのが目的。
東北大学は「福島第一原発の廃炉を安全に進めるとともに、研究結果を他の廃炉作業にも利用し、わが国の原子力分野での国際競争力強化に寄与していきたい」としている。