富山大学の研究グループは、全国の内科医師の年間退院患者数、研修医の給料とマッチング率について分析。地域間の格差が明らかになった。日本内科学会の認定教育施設である全国423病院(大学病院を除く)を対象とし、医師の1人当たりの年間退院患者数、初期研修医の基本給、中間マッチング率の3項目を調査。それらの指標を病院が立地する市町村の人口規模の区分別に評価した。
その結果、医師1人当たりの年間退院患者数は、全国平均が110.3名。人口200万以上の都市と東京23区内の病院では88.4名で、全国平均に比べて21.9名、人口30万人未満の市町村と比べて37.5名も年間の患者担当数が少なかった。都市部の病院では他の地区の病院に比べて内科勤務医数が多く、そのため医師1人当たりの年間退院患者数が少ないとみている。
初期研修医の基本給は345病院が公表しており、全国平均は35万1199.3円。10万人未満の市町村で38万2083.8円と最高値を示すが、200万人以上の都市と東京23区内の病院では30万5635.1円と最低値だった。月給と人口には反比例の関係が見られた。
最後に病院の人気を示す中間マッチング率を調査した。これは各病院への就職希望者の総数を、病院が定める定員で除したもので、全国平均は101.9%。200万人未満の都市の病院では114.0%、200万以上の都市と東京23区内の病院では142.7%と非常に高く、人口規模の小さい市町村では100%未満がほとんどだった。
総じて、大都市の病院では1人当たりの年間退院患者数が少なく、基本給も少なく、そして就職希望者が多いことが分かった。新型コロナ感染症などの対応も考慮すれば、非都市部の勤務医数の増加、偏在の解消のため、国レベルでの対策が必要としている。