文部科学省が高校時代に大学の単位を先取りすることで大学を早期卒業できる新制度の創設を検討していることが、オンラインで開かれた中央教育審議会大学分科会で報告された。文科省は2021年度中に関連する省令を改正し、2022年度からの適用を目指している。

 文科省によると、現在も高校生らが科目等履修生として大学の単位を取得することができ、先取りした単位が大学卒業に必要な単位数に含まれている。しかし、高校生らが先取りした単位で修業年限を短縮することは認められておらず、入学後4年間は大学に在籍しなければならないと規定されている。

 新制度では、この規定を改正して入学前に取得した単位であっても、修業年限の短縮に活用できるようにする。その結果、高校生らが大学卒業に必要な124単位のうち、15単位を半年間で先取りして取得した場合、入学後に残り109単位を3年半で取得すれば、半年早く卒業が可能になる。高校時代に授業を受けた大学に限って適用される。

 新制度は海外の大学などへの進学や長期の就業体験をしやすくする狙いがあり、早期卒業制度の新設や海外の高校を卒業した生徒に対する大学入学資格付与の年齢制限撤廃など、最近の教育改革の流れとも一致している。

 高校生らを対象に大学の授業の履修を認めている大学は2018年度時点で全体の28%に上る。高校生の科目等履修生は約1,500人いた。

参考:【文部科学省】大学分科会(第162回) 配付資料

大学ジャーナルオンライン編集部

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