世界トップレベルの研究力を持つ大学をつくるために運用益を活用する大学ファンドについて、政府の総合科学技術・イノベーション会議に資金運用の基本的な考え方が提示された。作業部会で4月から議論を重ねてきた内容で、長期のペイアウト(投資収益)目標を3%とし、運用開始以降5年以内の可能な限り早い段階で当面の支出上限額3,000億円(実質)の運用益の達成を目指す。

 内閣府によると、大学ファンドの基本的な考え方では、長期的に3%のペイアウト目標率に物価上昇率を加えた額を運用目標とし、国が長期的な観点に立ち、資産構成割合の許容リスクを設定するとした。

 投資先はグローバル株式と債券で、投資割合を株式65%、債券35%とした。年金積立金管理運用独立行政法人の50%ずつより株式の比重を高めることにより、リスクが大きい一方でより大きなリターンを期待できる強気の方針。少なくとも5年に1度の見直しを実施することを打ち出した。

 基金の元本は2021年度末までに4兆5,000億円が確保されているが、2021年度中に目標の10兆円規模への拡充にめどを立てるとしている。

 政府は2021年度中のスタートを目指している。ただ、10兆円規模への元本積み増しに対し、財務省は慎重な姿勢を崩していない。さらに、株式への高い比重が株価下落時に評価損を発生しやすい点にも懸念を持っている。内閣府は財務省に元本増額を要求し、水面下の折衝が続いている。

参考:【内閣府】総合科学技術・イノベーション会議(第56回)議事次第

大学ジャーナルオンライン編集部

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