自宅でがん患者を介護する際、自分の時間を十分に取れないなど時間的な要因を負担に感じることが多く、働きながら親の介護をする世代にしわ寄せが及んでいることが、東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科の大槻奈緒子特任講師、大阪大学キャンパスライフ健康支援センターの山本陵平准教授らの研究で分かった。
大阪大学によると、研究グループは2014~2018年に在宅ホスピス・緩和ケアを受けて亡くなったがん患者の介護者342人を対象にしたアンケート調査を実施し、介護者にとって時間的負担、経済的負担、心理的負担、肉体的負担などのうち、どれを最も負担に感じているのかを聞き取った。
その結果、「介護のために自分の時間を取れない」、「自由に外出できない」などの時間的な負担を最も苦にしていることが分かった。特に患者の要介護度が中程度で、介護者が55歳未満であるときに負担を重く感じる傾向があることも明らかになった。
日本の介護保険制度は要介護度が高い患者により多くのサービスを提供している。研究グループは働きながら親の介護をする世代に十分な支援がなく、負担のしわ寄せが及んでいるとみている。
2025年には団塊の世代が後期高齢者を迎え、介護を必要とする在宅療養者がさらに増加するとみられている。研究グループは増加する要介護者と就労中の介護者を社会全体で支える仕組みづくりが必要と指摘している。