大阪医科薬科大学医学部の鈴木有佳助教、本庄かおり教授、東北学院大学教養学部の仙田幸子教授らの研究グループが、出産時の母親の職業による死産リスクを調べたところ、職業によって有意な差があり、特にサービス業でリスクが高いことが分かった。国の約530万人分のデータを用い、母親の職業と死産の関係を疫学調査した国内初の研究で、成果が日本公衆衛生雑誌第68巻第10号に掲載された。

 大阪医科薬科大学によると、研究グループは5年分の人口動態職業・産業調査の出生票、死産票、人口動態調査の死亡票を用い、出産時の母親の職種と自然死産、新生児・乳幼児死亡の関係を調べた。

 その結果、母親の職種によって死産リスクの差があることが分かった。管理・専門・技術職の母親に比べ、無職の死産リスクが低かったのに対し、販売職や事務職、サービス職、肉体労働職は高い結果が出た。

 特に高かったのが家政婦、客室乗務員、介護職員、ウエイトレスなどが該当するサービス職の母親で、管理・専門・技術職に比べて1.76倍のリスクとなった。一方、新生児や乳幼児の死亡では、母親の職業と有意な関係が見られなかった。

 具体的なリスクの解明や改善法の探求は今後の研究に委ねられるが、研究グループは職場での母性保護促進、妊娠検査時の職業を考慮したアドバイスなどが死産リスクをさらに下げるとみている。

論文情報:【日本公衆衛生雑誌】母親の職種と出産後1年時までの児の死亡の関連:人口動態職業・産業別調査データより

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