岐阜県飛騨地方初の私立の四年制大学として、2024年4月の開学を目指す飛騨高山大学(仮称)。11月5日に記者会見が開かれ、学長候補の宮田裕章氏、本校キャンパス設計者の藤本壮介氏が出席した。今後、2022年10月大学設置認可申請、2024年開学に向け準備を進める。

 会見は、飛騨市本校キャンパスの設置予定地である飛騨市古川町で行われた。飛騨高山大学は本校キャンパスと各地域との“絆”を結び、全国11カ所(2021年11月現在)に拠点を設ける予定。多様な課題に直面している地方都市や過疎地域の現状に対して学生が実践の場を通じて直接触れる機会を創出し、横断的かつ幅広い視点で地域課題にイノベーションを発揮する人材の育成を目指す。学生数は入学定員100名・収容定員400名を想定(11月5日現在)。設置学部は、当初の予定を変更し、ニューノーマルにおける高等教育の姿を見据えた「共創学部」という名称となる。

 学長候補には、慶應義塾大学 医学部教授の宮田裕章氏が就任。専門はデータサイエンスで、科学を駆使して社会変革に挑戦し、現実をより良くするための貢献を軸に研究活動を行っている。専門医制度と連携し5000病院が参加するNational Clinical Database、LINEと厚労省の新型コロナ全国調査など、医学領域以外も含む様々な実践に取り組んでいる。

 宮田氏は開学に向け、飛騨高山大学(仮称)を「高校を卒業した学生だけでなく、社会の様々な立場の人たちが多様な地域や取り組みの中で繋がり、互いに学びあいながら、新しい社会を拓く実践をともにする場」とする抱負を語った。全国各地に地域拠点を結び、各地域の未来を共創する実践的な取り組みの中で学びの場を提供する。「新しいコミュニティやビジネス、アートやサービスなど多様な価値を創造するリーダーを輩出する」教育拠点を目指す。

 こうした構想を体現するのが飛騨本校のキャンパスデザインだ。「包まれていること」「その先へと開いていること」を体感し、学生や教員、地域の人々が、自由に交流し、その先の世界へと意識が繋がるようなキャンパスの設計イメージが発表された。手掛けるのは藤本壮介氏。国際設計競技で最優秀賞を何度も受賞し、2025 日本国際博覧会の協会事務局会場デザインプロデューサーに就任するなど国内外で活躍する建築家である。

 本校キャンパスと結んで展開する拠点は、2021年10月時点で岐阜県高山市・岐阜県岐阜市・愛知県田原市・石川県中能登町・長野県小布施町・京都府京都市・北海道札幌市・宮城県仙台市・鳥取県鳥取市・福岡県福岡市を予定地としている。
開校に先駆け、2021年6月14日から、現役大学生や社会人らを対象に各地の拠点において提供予定のオリジナル教育メソッド「ボンディングシップ(双方向の絆づくりの実践教育)」を試験的に実施し、教育効果の実証を試みている。岐阜県飛騨市を皮切りに、各務原市、岐阜市、石川県能登、北海道札幌、福岡県福岡市など、全国各地で開始しており2022年9月まで検証を行う。

参考:【仮称 飛驒高山大学】飛騨高山大学(仮称)学長候補に宮田裕章氏が就任・本校キャンパス藤本壮介氏が設計・新しい学部名称「共創学部」のお知らせ

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。