東京23区内の大学新増設抑制問題で、文部科学省は大学の設置などに関する告示を改正することを決め、告示案に対するパブリックコメントの募集を始めた。若者の東京一極集中の是正が目的で、改正案には23区内で定員増を原則として認めないことを明記している。

 文科省によると、パブリックコメントの募集期間は9月12日まで。告示改正案では大学が23区内で新学部設置を望む際、その定員分を既存学部の定員から減らすよう求めるとした。大学側が既に機関決定し、土地購入など準備に入っている場合は例外的に認めるとしている。

 23区内は大学の都心回帰で一極集中が加速する傾向にある。政府の有識者会議が5月、定員増を認めないとする中間報告をまとめたのを受け、政府は6月に閣議決定した地方創生の基本方針などに新増設抑制の方向を盛り込んでいる。
しかし、2018年度からの入学定員増について、文科省が申請校に自粛と見直しを要請したところ、法的根拠がなかったことから、1校も応じなかった。

 政府は定員規制の法整備を年内に進める方針。だが、具体的な制度の成案は年末になるとみられることから、2018年度の定員増、2019年度の学部設置、定員増の取り扱いを文科省告示で対応することにした。
これに対し、都内の私立大学、東京都などは反発を強めており、法整備などで激しい議論が予想される。

大学ジャーナルオンライン編集部

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