城西大学は、埼玉県や坂戸市の関係者を招いて、防災や減災に関するシンポジウムを2021年11月12日、清光ホールで開いた。主催は城西大学と城西短期大学、後援は埼玉東上地域大学教育プラットフォーム(TJUP)。
城西大学が地域連携シンポジウムを開くのは今回が初。2019年の台風で大学周辺でも被害が大きかったことから、「埼玉県が直面する自然災害の実態と地方自治体の防災・減災対策」をテーマに開催した。
シンポジウムでは、危機管理などを担当する県の橋本雅道副知事による基調講演「常に危機意識を持って備える」のほか、東京電機大学の安田進名誉教授による「地震と豪雨による地盤災害の実態」、埼玉大学大学院理工学研究科の田中規夫教授による「近年の水害の特徴と流域治水へ向けての視点」と題した基調講演が行われた。
基調講演の中で、橋本副知事は埼玉県に発生しうる震度6強の地震とスーパー台風に触れ、県によるハードとソフトによる防災対策を紹介して「備えることの重要性」を強調した。安田名誉教授は、液状化に関連して「戸建て住宅の液状化対策が遅れている」として「行政と住民・事業者によるリスクコミュニケーションが重要」と指摘した。また田中教授は、江戸から明治にかけて減災システムがあったが、今いかに減災対策を再構築するかが重要と強調し、①脆弱性を改善する②リスクを減らす③災害からの回復力を高めるという災害を減らす3つの視点を紹介した。
「防災・減災に向けて市町村行政はどう対応すべきなのか」をテーマにしたパネルディスカッションでは、行政も交えて意見交換を行い、今後の防災対策、防災政策の方向について議論した。シンポジウムは、大学内のサテライト会場やオンラインでも配信された。