北海道大学大学院環境科学院と星野リゾート(長野県軽井沢町、星野佳路社長)の産学連携に関する研究論文が、英観光学術誌「ジャーナル・オブ・サステイナブル・ツアーリズム」電子版に掲載された。産学の大規模連携で珍しい成功例であるとともに、持続可能な観光の可能性を示す活動として評価されている。
論文の筆者は北海道大学大学院環境科学院の樋口ゆかりさんと同大学院地球環境科学院の山中康裕教授。これまでの産学連携を詳しく報告している。
北海道大学によると、環境科学院と、星野リゾートが経営する北海道占冠村の「星野リゾートトマム」は2011年、産学連携に合意し、環境保護と観光の両立する地域づくりを進めてきた。
環境科学院は2012年、トマム山山頂に観測所を設置し、雲海発生のメカニズムを調査、それに基づく「雲の学校」、「雲海ガイドツアー」という体験型観光プログラムを星野リゾートと共同開発した。
このほか、地元の小学生を対象とした「川の学校」や「雪の学校」を開設、観光資源としての価値向上と環境教育の普及にも努めている。これが教育分野での連携を望む占冠村との産学官三者連携に発展した。
国連は2017年を「持続可能な観光の国際年」としている。北海道大学と星野リゾートは今後、活動場所を占冠村以外にも拡大し、持続可能な観光を模索する。