長引くコロナが遺児家庭に及ぼした影響を明らかにするため、あしなが育英会は2021年10月に高校奨学生の保護者3994人を対象にしたアンケート調査を、11月に同保護者111人に対してオンライン聞き取り調査を行った。12月11・12日(土日)には全国12都市14拠点で、2年ぶりとなる街頭募金を実施する。

 調査の結果、コロナ禍前の2018年と比較して9月の収入がない(=0円)と回答した層が27.6%と大きく増えた。大きな原因として、就業していた層が失業もしくは就業できなくなったことが考えられる。長引くコロナによって離職・転職を経験した保護者は19.5%であり、理由の45.5%が「勤務先の業績悪化や雇い止めのため」と回答。勤め先の状況が保護者の就労に直接影響を及ぼしており、さらに、その27%は現在も失業中であると回答した。

 子どもの貧困率をみると、一般では7人に1人(13.5%)が子どもの貧困に当てはまると言われているが、今回の調査で、9月の収入からの推計では2人に1人(48.5%)が子どもの貧困にあてはまる状況であるとわかった。

 また、大学奨学生が保護者に行ったオンライン聞き取り調査では、「大学生の娘を持っていることは贅沢品と生活保護窓口で言われた」(40代 母親が障がい者の世帯)、「奨学金や給付金があっても大学の学費が高くてとてもきつい」(40代 母子家庭)、「親を亡くした受験生に、受験料だけでも支援があればなあ」(50代 母子家庭)、「電気代節約のため、フードコートで受験勉強してもらった」(50代 母子家庭)、「各種制度の条件からもれてしまう」(50代 母子家庭)、「知らないことで支援を受けられない、ということがなくなってほしい」(50代 父親が障がい)、「子どもの手当、高校3年生までにして欲しい」(30代 父親が障害の世帯)など、悲痛な叫びが届いた。

 今回の調査結果を受け、あしなが大学奨学生たちは「コロナ禍で遺児家庭の生活は限界にある。そして奨学金を希望する後輩遺児たちが急増しているいまこそ、街頭募金で社会に訴えていきたい」と立ち上がった。12月11日(土)、12日(日)には、東京、広島、群馬、愛知、石川、北海道、福岡など全国12都市14拠点で2年ぶりとなる街頭募金を呼び掛ける。

参考:【あしなが育英会】【遺児の保護者調査】コロナ禍で困窮進む

大学ジャーナルオンライン編集部

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