東北大学大学院医学系研究所の千田浩一教授と仙台厚生病院の芳賀喜裕非常勤講師らのグループは、放射線従事者の眼(水晶体)の被曝実態を明らかにした。
IVR(画像下治療)などに携わる放射線従事者には、白内障などの放射線障害の発症例が多く報告されており、その危険性が懸念されてきた。また、これまでの水晶体被曝の測定法は、計測単位や計測場所(線量計を首や胸付近に装着)の点から、正確な評価が行われているとはいえない状況だった。
そこで千田教授らは、左目付近に装着できる新しい水晶体用線量計を使って、水晶体被曝が特に多いと心配されているIVR放射線従事者の被曝状況をより正確に測定した。
半年間の測定を行った結果、適切な放射線防護を行わない場合、水晶体線量限度の新基準(20 mSv/年)を超過する線量を浴びる危険性があることが明らかになった。さらに、同グループは、軽量タイプ放射線防護メガネを装着した際、水晶体被曝に対して約60%の遮断効果が得られることを明らかにした。
本研究によって、新型線量計を用いて水晶体被曝量を正確に計測し、防護メガネの遮断効果など多くの知見を得たことで、放射線医療従事者の白内障などの発症防止に貢献することが期待される。
論文情報:【Scientific Reports】Occupational eye dose in interventional cardiology procedures.