東京大学のグループは、細胞内から細胞外へビタミンC輸送を担う排出型の輸送体を世界で初めて明らかにした。

 ビタミンCは生存に必須の栄養素として知られる一方で、からだの隅々まで行き渡らせるための体内動態制御についてはあまりわかっていない。特に脳は、ビタミンCを豊富に含む臓器でありながら、関門組織によって血液と隔てられているため、血液から脳へのビタミンC移行を司る分子機構が存在すると考えられている。

 これまでに同定されているビタミンC輸送体はナトリウム依存性ビタミンCトランスポーター(SVCT1とSVCT2の2種類)のみであり、血液脳脊髄液関門を形成する脈絡叢の上皮細胞では、血液側の細胞膜上においてビタミンCの入口(細胞外から細胞内へビタミンCを取り込む)としてSVCTが機能している。本研究では、これと対になる、脳脊髄液側の細胞膜上に出口として機能する未知のビタミンC輸送体が存在すると考え、研究を進めてきた。

 その結果、脈絡叢に発現するSLC2A12トランスポーターがビタミンCの細胞内から細胞外への輸送(排出)を担うことがわかったという。SLC2A12遺伝子を欠損させたマウスでは、脳におけるビタミンC濃度が通常のマウスの半分程度に低下していた。また、脈絡叢中のビタミンC濃度が大きく上昇し、反対に脳脊髄液中のビタミンC濃度は大幅に低下していた。このことは、脈絡叢→脳脊髄液へのビタミンCの出口が失われていることを示し、SLC2A12によるビタミンC排出型輸送が脳へのビタミンC供給にとって生理的に重要な経路であるということができる。

 「ビタミンC排出タンパク質:VCEP」と名付けられたこの輸送体は、これまで取り込み型しか知られていなかったビタミンC輸送体の中で初めての排出型輸送体である。VCEP遺伝子欠損マウスは、脳のビタミンC濃度を大きく低下させることのできる初めての動物モデルでもあるといい、脳におけるビタミンCの役割を明らかにする上でも大きな成果となると考えられる。

論文情報:【iScience】Identification of an exporter that regulates vitamin C supply from bloodto the brain

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