グローバルサプライチェーンの再構築が二酸化炭素(CO2)の排出削減に有効なことを、九州大学大学院経済学府博士後期課程の前野啓太大学院生、九州大学大学院経済学研究院の加河茂美教授、山形大学学術研究員の時任翔平講師の研究グループが突き止めた。

 九州大学によると、研究チームは4つの産業連関分析手法を統合してサプライチェーンの再構築がCO2排出に与える影響を分析する手法を開発した。それを用いて日本の自動車産業を例に取って検証すると、サプライチェーンの再構築が自動車のCO2排出量を6.5%削減する潜在能力を持つことが分かった。

 さらに、サプライチェーン再構築によるCO2排出変化を構造分析したところ、CO2排出のホットスポット(※1)とされる中国から製品購入をしないとすれば、他国での製品生産で生まれるCO2排出量以上にCO2を削減できることが明らかになった。

 研究チームは低炭素型のグリーンサプライチェーンを構築するうえで、サプライチェーンの上流部分、つまり「サプライヤーのサプライヤー」に至るまで詳細なCO2排出削減策を取る必要があるとし、構造改革を通じて低炭素化や脱炭素化を進めるべきだとみている。

※1 ホットスポット ある産業のサプライチェーンネットワークでCO2を大量に排出している産業群

論文情報:【Energy Economics】CO2 mitigation through global supply chain restructuring

大学ジャーナルオンライン編集部

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