グローバルサプライチェーンの再構築が二酸化炭素(CO2)の排出削減に有効なことを、九州大学大学院経済学府博士後期課程の前野啓太大学院生、九州大学大学院経済学研究院の加河茂美教授、山形大学学術研究員の時任翔平講師の研究グループが突き止めた。

 九州大学によると、研究チームは4つの産業連関分析手法を統合してサプライチェーンの再構築がCO2排出に与える影響を分析する手法を開発した。それを用いて日本の自動車産業を例に取って検証すると、サプライチェーンの再構築が自動車のCO2排出量を6.5%削減する潜在能力を持つことが分かった。

 さらに、サプライチェーン再構築によるCO2排出変化を構造分析したところ、CO2排出のホットスポット(※1)とされる中国から製品購入をしないとすれば、他国での製品生産で生まれるCO2排出量以上にCO2を削減できることが明らかになった。

 研究チームは低炭素型のグリーンサプライチェーンを構築するうえで、サプライチェーンの上流部分、つまり「サプライヤーのサプライヤー」に至るまで詳細なCO2排出削減策を取る必要があるとし、構造改革を通じて低炭素化や脱炭素化を進めるべきだとみている。

※1 ホットスポット ある産業のサプライチェーンネットワークでCO2を大量に排出している産業群

論文情報:【Energy Economics】CO2 mitigation through global supply chain restructuring

山形大学

人を生かし、地域を生かし、世界を生かす。生きる力を育てる大学

山形大学は、人文社会科学部・地域教育文化学部・理学部・医学部・工学部・農学部の6学部を構える東日本でも有数規模の総合国立大学。「自然と人間の共生」をテーマとし、「地域創生・次世代形成・多文化共生」の3つの使命と「豊かな人間性を有する人材を育成する」という教育理[…]

九州大学

未来を切り拓く「総合知」を生み出し、社会変革を牽引する大学

九州大学は、12学部19学府を擁する基幹総合大学。世界最高水準の卓越した教育研究活動を展開し国際的な拠点となり得る「指定国立大学法人」として指定を受けました。これまで培い蓄積した人文社会学系から自然科学系、さらにはデザイン系の「知」を組み合わせた「総合知」によ[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。