孤独を楽しむ傾向が強い高齢者はネガティブな感情が低いことが、島根大学人間科学部の豊島彩講師、京都大学大学院教育学研究科の楠見孝教授らの研究で明らかになった。

 京都大学によると、豊島講師らは65歳から80歳の高齢者210人を対象にウェブで、276人を対象に郵送方式で調査を実施し、分析した。

 その結果、孤独を好む志向性に「とにかく1人になりたいと感じる(孤独を必要とする)」、「1人の時間を楽しみ、静かな場所で休息を取るのを好む(孤独を楽しむ)」、「作業に集中するため1人になりたいと感じる(孤独の生産性を評価する)」の3要素があることが分かった。

 このうち、孤独を楽しむ傾向が強い人はネガティブ感情が低く、孤独の生産性を評価する傾向が強い人はポジティブ感情と人生満足度が高い結果が出た。3つの要素はすべて孤独感の高さと関連があり、孤独を好む志向性が主観的幸福感に与える効果は部分的だった。

 孤独を好む人はこれまで、社交性やソーシャルスキルが低いと考えられてきたが、コロナ禍で新しい生活様式が続く中、孤独とうまく付き合う方法を考えるきっかけになる可能性がある。豊島講師らは引き続き、調査を継続し、孤独を好むライフスタイルや行動が心身の健康状態にどう影響するのかを調べる必要があるとみている。

論文情報:【Innovation in Aging】Examining the relationship between preference for solitude and subjective well-being among Japanese older adults

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