岩手医科大学、帝京平成大学、フジッコ株式会社の共同研究グループが、「カスピ海ヨーグルト」の服薬補助食品としての可能性に着目した研究論文を発表した。
「カスピ海ヨーグルト」は独特の粘りと水分(乳清)の分離が少ないことが 特徴のヨーグルトであり、他のプレーンヨーグルトと比較しても嚥下しやすいことが明らかとなっている。
嚥下力の低下した高齢者では、粘りのない食品は飲みこみにくくなり、経口薬の服用時も、水では飲みこみが困難となる。そこで本グループは、「カスピ海ヨーグルト」の服薬補助食品としての可能性を考え、基礎的な知見を得るために薬剤の崩壊試験および溶出試験を実施して検討した。
服薬補助食品の比較対象として「カスピ海ヨーグルト」、服薬補助ゼリー、とろみ剤の3種に薬剤(便秘薬である酸化マグネシウム錠、利尿剤であるフロセミド錠等)を浸漬して観察した。ヨーグルトやとろみ剤に浸漬した場合、浸漬しなかったときと比べて崩壊が遅延する薬剤がいくつか認められたが、著しい遅延とはならなかった。薬剤の溶出率については、試験開始15分後の時点では、浸漬しなかったときに比べて服薬補助ゼリーで6%、とろみ剤で14%、ヨーグルトで25%の溶出率低下がみられたが、120分後の溶出率は全てのサンプルで90%以上となった。以上から、「カスピ海ヨーグルト」を服薬補助食品として利用した場合の薬剤の崩壊性と溶出性に著しい影響は無いことが確認された。
本研究は、『「カスピ海ヨーグルト」を薬やサプリメントの服用時に使用している』という消費者からフジッコ株式会社への問い合わせが契機であったという。今回の結果から、「カスピ海ヨーグルト」は介護現場等で手軽に使用できる服薬補助食品としての活用の道が拓けたといえる。