東京大学大学院農学生命科学研究科の平山和宏准教授らと、日清ペットフード株式会社および日本獣医生命科学大学の藤澤倫彦教授らの研究グループは、ネコの腸内細菌叢の特徴および加齢による腸内細菌叢の変化を明らかにした。
現在、日本で飼育されているペットの頭数は、15歳未満の子供の数を上回り、よりペットの健康維持に注目が集まっている。健康維持の手段の一つに腸内環境の改善があるが、より良い環境づくりのために腸内細菌叢の情報の把握が不可欠である。
同グループは、ネコの腸内細菌叢を5つの年齢ステージ(離乳前、離乳後、成年期、高齢期、老齢期)に分けて解析し、ネコの腸内細菌叢の特徴を明らかにした。すなわち、ヒトではビフィズス菌、イヌでは乳酸桿菌が善玉菌の代表であるが、ネコでは、これらのどちらの腸内細菌も優性ではなく、「腸球菌」が重要な位置を占めていた。また、老齢期のネコでは、腸球菌の数が減少すること、および構成する菌やその加齢に伴う変化はヒトやイヌで見られるものとは異なるものであることを明らかにした。
ヒトでは腸内細菌叢を健康に保つため、老化と共に減少するビフィズス菌を補うことを目的としたプロバイオティクスが広く使用されている。本研究成果により、ネコに特化したプロバイオティクスの開発が期待される。
論文情報:【PLOS ONE】Transition of the intestinal microbiota of cats with age