北海道大学大学院の山仲勇二郎准教授らの研究グループは、時刻情報を取り除いた実験室で自由に生活させた際に、1日1回決められた時刻に食事を取ると睡眠覚醒リズムが食事スケジュールに同調するが、概日リズム(深部体温やメラトニン、コルチゾルなどのホルモンなどのリズム)は食事スケジュールに同調しないことを発見した。
ヒトなど多くの動植物がもつ生物時計は独自のリズム周期を持ち、朝方の太陽光により24時間周期の昼夜変化に同調している。しかし、外界の昼夜変化、温度、騒音などの時刻情報を取り除いた特殊な恒常環境(時間隔離実験室)で長期間生活する実験をヒトに行うと睡眠覚醒リズムと概日リズムが異なる周期を示す(内的脱同調)。この現象は両リズムが異なる振動体により駆動されているとされる。
研究グループはこれまで、厳密な生活や運動のスケジュールは睡眠覚醒リズムを同調させるが、概日リズムは同調させないことを報告してきた。しかし、規則正しい食事スケジュールが生物時計に与える影響については長年不明だった。
そこで今回、若い成人男性を対象に、照度を200ルクス以下にし、1日1回固定した時刻に食べるグループと、食事時刻を被験者自身で決めるグループに分け、時間隔離実験室で一定期間生活する実験を行った。その結果、食事スケジュールは24時間の睡眠覚醒リズムの同調因子となるが、生物時計中枢に制御される概日リズムに対する作用は弱い(24時間より長くなる)ことを発見した。
今回の研究成果により、生体リズムの乱れが原因となる睡眠障害や概日リズム障害を予防する行動指針の作成に寄与することが期待されるとしている。