日本の大学の初年度納付金は米国の私立大学ほど高くないものの、ドイツやフランスに比べてかなり負担が大きいことが、文部科学省のまとめで明らかになった。日本の初年度納付金は私立大学が過去40年間で4倍以上、国立大学が10倍近くに増え、大学生を持つ家庭の家計を圧迫している実態があらためて浮き彫りになった。

 文部科学省によると、日本の大学の初年度納付金は入学金と授業料から成り、2016年で国立大学が平均81万7,800円、公立大学が地域内学生の場合、平均93万1,235円。私立大学は2014年で平均131万1,644円。

 米国は入学金がなく、2013年で州立大学の授業料が平均74万4,000円と日本の国立大学より安いものの、私立大学は平均230万円とかなり高額の授業料が必要になる。主な私立大学ではシカゴ大学が425万3,000円、ハーバード大学が378万5,000円で、低所得世帯の若者が奨学金なしに進学するには重い負担となる。

 欧州では、英国も入学金がなく、2015年の授業料が平均130万7,000円とほぼ日本の私立大学並み。フランスの国立大学は2014年、学籍登録料と健康保険料などで5万6,000円、ドイツは州立ボン大学の2017年冬学期で学生福祉会経費などとして3万5,600円が必要になる。入学金や授業料がないことから、かなり安い。

 日本の初年度納付金は1975年、国立大学で平均8万6,000円、私立大学で平均27万8,261円だったが、この40年で大幅に上昇した。その間、平均賃金は2倍にもなっていない。新たな奨学金制度が導入されているとはいえ、家計の負担は重くなるばかりだ。

参考:【文部科学省】「諸外国の教育統計」平成29(2017)年版

大学ジャーナルオンライン編集部

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