一般ユーザのTwitter投稿から、2種目の新種ダニが発見された。法政大学の島野智之教授と共同研究チームのトビアス=プフィングスティル博士(グラーツ大学/オーストリア)、蛭田眞平博士(昭和大学)らが確認した。
発端は2021年にTwitterへの一般の会社員の投稿によって島野教授が偶然発見した千葉県銚子市のチョウシハマベダニ(学名:Ameronothrus twitter、通称ツイッターダニ)だ。当時、同教授のチームが2019年に発表した北海道余市のヨイチハマベダニに続く国内2種目のハマベダニとされて脚光を浴びた。
この論文発表のニュースを島野教授がTwitterに投稿したところ、投稿を見た鳥取県在住の大生唯統さん(鳥取大学大学院生)から、「今話題のハマベダニってこれのことだろうか?鳥取県で撮影。」という投稿が寄せられた。
同教授は、このダニも新種ではないかと判断し、すぐに大生さんにダニの採集を依頼。鳥取県岩戸から届いたダニの研究を開始したところ、まもなく遺伝子解析の結果から新種であることが判明したという。本種はハマベダニとしては珍しくオスメスが異なる形態をもつ性的二型のダニで、和名をイワドハマベダニ、学名はリツイートにちなみAmeronothrus retweetと名付けられた。
本来は北極圏に生息していることが知られるハマベダニだが、今回の新種発見により、鳥取県がハマベダニ属の新たな南限となった。鳥取県がハマベダニ属の南限であることは、実は日本・オーストリア研究チームにより海水温や気温から既に予想されていたといい、これを的中させる結果ともなった。
SNSの利用と一般ユーザからの投稿によって、「二匹目のドジョウ」ならぬ2種目の新種ダニ発見となったこのユニークなニュースは、誰でも新種の発見や生物多様性の解明に協力・参加できることを示している。地球上に存在する種の86%は未発見であるとの推計もあり、今後より多くの市民と専門家の協力が望まれる。