広島大学大学院理学研究科の畠山航平氏(博士課程後期1年)と片山郁夫教授らの研究グループは、海洋プレートがこれまで想定されていたよりも多くの水を取り込むことを突き止め、約6億年後には海がなくなる可能性を示唆する新しい海洋プレートの含水モデルを提唱した。

 地球では、表層に加え、内部でも水の循環が働いている。含水した海洋プレートが沈み込むことによる海水の地球内部への取り込みと、火山などの脱ガスによる水の地球内部から地上への排出という循環だ。

 これまで、海洋プレートの水の取り込みは、海洋プレートの最上部である海洋地殻に限られると考えられてきた。しかし、近年の海底地震波探査では、海洋地殻だけでなくその下の海洋マントルまで水の浸透が達していることが指摘されていた。そこで研究グループは、マントルが水を取り込んだ際に形成される蛇紋岩の透水実験を行い、地球内部に運び込まれる海水の総量の再検討を行った。

 その結果、海洋プレートによって地球内部へ運び去られる海水量は、年間25億トンに値すると見積もられた。これは、従来考えられてきた海水の減少量の2倍以上にもおよび、火山などの脱ガスにより水が地球内部から排出されている量よりもはるかに多く、海水が減少傾向にあることを示唆するもの。現在の海水の総量からの単純計算では、約6億年後に海が消滅することになるという。

 現在は砂漠が広がっている火星においても、過去には海があった可能性が指摘されている。このままでは、地球も火星と同じ運命をたどるかもしれない。今からどのような対策をすべきなのか、発表では、長期的な視野に立って地球の環境を考えていく必要があるとまとめている。

論文情報:【Scientific Reports】Mantle hydration along outer-rise faults inferred from serpentinite permeability

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