鎌倉時代中期に設立され、日本最古の武家文庫として知られる国宝の金沢文庫文書が東京大学史料編纂所の協力で大幅にリニューアルされ、公開された。公開文書数を倍増させたほか、検索機能の向上、スマートフォンやタブレットでの閲覧環境を改善している。
東京大学によると、大幅リニューアルでは公開文書数を1,024件に倍増させるとともに、検索機能向上や画面表示方法の改善、東京大学史料編纂所データベースとの連携、デジタルアーカイブ間の画像相互利用のための新仕様導入、日本学術振興会の人文学・社会科学総合データカタログとの連携などを進めた。
金沢文庫を運営する神奈川県立金沢文庫は文書のデジタルアーカイブ化を進め、2020年からウェブ上で公開しているが、検索機能や画面の表示方法など改善すべき問題を抱えていた。そこで、2021年に東京大学史料編纂所と覚書を締結して協力を受け、大幅なリニューアルを進めていた。
金沢文庫の文書は鎌倉時代中期に金沢北条氏の北条実時が現在の横浜市金沢区金沢町にあった邸宅内に設けた武家文庫。金沢北条氏は鎌倉幕府の滅亡とともに滅んだが、文書は隣接地にある称名寺が管理していた。
現在の金沢文庫は昭和初期の1930年、神奈川県の施設として復興された。称名寺からの寄託品を中心に文書のほか、美術品や郷土資料などが所蔵されている。