東京大学大気海洋研究所と海洋研究開発機構の研究グループは、首都東京周辺の過去4400年間の気候変動を海洋堆積物から高時間解像度かつ連続的に解明した。繰り返された気候変動が日本の歴史へ与えた潜在的影響を指摘している。

 近年、「気候変動」が大きな話題となり、地球温暖化など将来の人間社会への悪影響が懸念されている。一方で、過去の気候変動の影響はどうだったのか。研究グループはこれまで、過去の気候変動が人類に与えた影響を評価するため、多くの文明が栄えた東アジアの沿岸域を対象に研究を行ってきたが、今回、東京周辺の過去の気候変動を、連続的かつ高い時間解像度で復元することを目指した。

 そのため、東京湾の中央から堆積物柱状コアを採取し、貝化石の年代測定によって堆積年代を決定。堆積物に含まれる有機物を調べ、過去4400年間の表層海水温変動を精密に分析した。沿岸では気温は海水温とともに変化するため、表層水温変動から東京の気候変動の解析が可能だ。

 その結果、過去4400年の間に、主に太陽活動や火山噴火活動の強弱に起因する顕著な9つの温度ピークが同定された。特に、①世界的な文明崩壊/劣化に対応する「4.2ka気候イベント」(約4200年前の世界的な乾燥化・寒冷化)、②縄文/弥生時代の境界期、③弥生末期の内乱(倭国大乱)が発生した時期、④平安末期の武家の台頭期、に大きな寒冷化を認めた。

 これらの寒冷イベントの時期は、日本史上の転換点に一致しており、社会が気候による影響を受けてきたことが示唆される。過去を未来への教訓とし、日本の未来設計図を描くには、気候変動の正しい予測に基づき、その対策を十分に考慮すべきとしている。

論文情報:【Quaternary Science Reviews】High time-resolution alkenone paleotemperature variations in Tokyo Bay during the Meghalayan: Implications for cold climates and social unrest in Japan

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