明治大学政治経済学部3年高峰ゼミの学生は、企業の社員から就職活動中の学生に行うセクシャル・ハラスメント、いわゆる“就活セクハラ”の現状と対策などを取りまとめた「就活セクハラ防止パンフレット」を制作した。監修は、ハラスメント専門家として企業のハラスメント対策を支援する一般社団法人日本ハラスメント協会が務めた。

 学生が制作した「就活セクハラ防止パンフレット」では、“就活セクハラ”を受けた時の状況は「OB・OG訪問」が一番多く、「性的からかい」「食事等への執拗な誘い」が報告されているといった現状のほか、「企業が公認したOB・OG社員と会う」といった被害にあわないための対策や被害にあった場合の相談先を紹介。「採用される立場だからといって、選考や業務に直接関係しない質問や要望に応える必要はない」と呼びかけている。

 パンフレット制作のきっかけは、1年間ゼミ生全員で行う共同研究のテーマを「就活時におけるジェンダー問題」に決定したことだった。具体的にどのようなジェンダー問題が潜んでいるのか(女子就活生限定のメイクマナー講座や服装、一般職・総合職の男女の採用人数差、賃金格差など)をあげ、結果的に、就活時のセクシュアル・ハラスメントにたどり着いたという。そこからセクシュアル・ハラスメントとはどのようなものか、ハラスメントをされた時に守られる法律は存在するのかなど疑問点が多くあがり、研究することになった。当初、パンフレットを制作する予定はなかったが、約1年間の研究を通じて、“就活セクハラ”についてより広く啓発していく必要性を感じたことから、制作に至った。

 就活セクハラの研究を重ねわかったことは、就活生は労働者に属していないため守られる法律がなく、求職者であり立場の弱い存在であるため、被害に遭っていても就職に不利になるという理由で我慢してしまうケースが多いということ。現状については、対策を講じている企業もあるが、社外で起こっているセクシュアル・ハラスメントについては十分に認知されているとは言い難く、就活生のセクシュアル・ハラスメントに関する防止対策義務が存在しないことから就活セクハラの対策は手薄な状態になっている。大学のキャリアセンターの就活セクハラに関しての対応力の強化が求められるという課題もあがった。

参考:【PR TIMES】明治大学の学生が「就活セクハラ」防止パンフレットを制作。大学キャリアセンター連携で学内に掲示。日本ハラスメント協会が監修 

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