学校法人関西学院はロシアのウクライナ侵攻から4カ月が経ったのを受け、元関西学院大学社会学部海外客員教授のセルギー・ゲラシコフキーウ工科大学哲学科准教授のオンライン講演会を関西学院大学上ヶ原キャンパスなど関西学院の4キャンパスで開いた。

 関西学院大学によると、大学、高等部などの学生、生徒、教職員ら約160人が聴講する中、関西学院の中道基夫院長が「毎日、ウクライナのニュースを見ているが、それはほんの一部。講演を通じて実際に起きていることを学び、日本人にできることを考えてほしい」とあいさつしたあと、ゲラシコフ准教授が「ウクライナからの声 戦争でウクライナ社会はどう変わったか」と題して講演した。

 ゲラシコフ准教授はロシアの軍事侵攻の影響が世界秩序にまで影響を与える中、ウクライナの国民が結束して抵抗していることを説明した。その中で、大学の教育は授業が一時停止され、オンライン授業で再開されてきたものの、教育関連の施設が相次いで破壊され、不安定な状況が続いていることを明らかにした。さらに、現時点でウクライナに必要なものが平和だとし、「私がいる地域でも1時間前に空襲警報が出るなど、いつミサイルが飛んでくるか分からない。勝利は必要だが、戦争の終わり方がまだイメージできない」と苦しい胸の内を述べた。

 参加した学生は「開戦から時間が経ち、今ロシアとウクライナとの間に何が起きているのか、改めて事前に調べてから講演会に臨んだ。一番驚いたのが、メディア報道だけを見ると、ウクライナ国民は不利な状況にあると感じるが、80~90%の人々が、自分たちはまだ立ち向かえる強さを持っている、と信じていると知ったこと。この時代に戦争が起きているという実感があまり持てなかったが、平和について考える機会となりました。」とコメントした。

 関西学院大学は、今回の講演会に合わせて、西宮上ケ原キャンパス、西宮聖和キャンパス、神戸三田キャンパスの各図書館でもウクライナに関係する本の特集コーナーを設置。また、学生の難民支援サークル「Spoon for Peace」(代表:小澤伸也さん・国際学部3年生)の企画で6月20日から24日まで西宮上ケ原キャンパスの大学生協の食堂「BIG MAMA(ビッグ ママ)」にてウクライナ伝統料理のヴァレーニキ(ウクライナ餃子)とトマトソースの肉じゃがを提供して売上を支援に活用するなど、全学を挙げてウクライナ問題に取り組んだ。

参考:【関西学院大学】ウクライナ侵攻、教育への影響は甚大 キーウ工科大学准教授が現状語る

関西学院大学

次代を見据えた特色ある教育で、自分の未来が楽しくなる学び

創立130余年の歴史の中で多文化が共生する関西学院。スクールモットー「Mastery for Service(奉仕のための練達)」を体現する、創造的かつ有能な世界市民の育成をめざしています。複眼的な視野を養う、分野横断型の教育システムを確立や、国境を越えた学び[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。