新型コロナウイルス感染症の拡大により、自宅で最期を迎えたいと考えたり、在宅医療を希望したりする患者が増えていることが、筑波大学医学医療系の濵野淳講師らの国内調査で分かった。入院中の面会制限が在宅医療を希望するきっかけになっているようで、医療機関がある地域の人口や医療機関の医師数などと関係なく、全国共通の結果が出ている。
濵野講師らは2021年8月、訪問診療を行っている国内37医療機関の院長、管理者ら責任医師を対象に在宅患者数の変化や患者とその家族の在宅医療に関する意向などについてウエブアンケートを実施し、回答を寄せた31医療機関の声を分析した。
それによると、新型コロナの流行前に比べ、74.2%が「自宅で最期を迎える患者が増えた」、71.0%が「新たに訪問診療を希望する患者が増えた」と答えた。在宅医療を希望する理由については、93.5%が「入院中の面会制限があるため」と回答している。
今回の研究は新型コロナ流行前と比較した在宅医療利用状況の変化を分析した国内で初めてのケース。回答内容に地域差が見られなかったことから、濵野講師は国内での一般的な傾向になっているとみている。
このため、訪問診療を希望する患者に対応する医療従事者への支援や、入院中の面会制限運用の改善が今後の検討課題になるとしている。